すったもんだ日記帳 Yuriko Hara’s Blog

Pianist 原 由莉子 のmusikalischな日々

ベートーヴェン物語 第一話 第一章 曲目解説

先日お伝えした、動画撮影によるリモート朗読劇『ベートーヴェン物語』を

アップしました~~~🙌

https://youtu.be/kMO8mipMSTA

https://youtu.be/ilfo3nM6fN4

 

 

 

第一話(一章&二章)は、ベートーヴェン少年期編。

というわけで、BGMも初期の作品からセレクトして演奏しています。

 

劇のBGMとしてストーリーと曲調が合ってるかどうかはもちろん

その時代にベートーヴェンが書いたのもので、音楽史的にも関連するもので・・・・と、私の妙なところで凝り性な部分が本領発揮し

選曲作業に一番こだわったかも・・・!

まぁ普通のコンサートするにしてもプログラム組みに一番こだわってるからいつものことか(笑)

 

 

というわけで本記事では『ベートーヴェン物語』の中で演奏している作品を

せっかくなので簡単に曲目解説したいと思いまーす!

 

 

ベートーヴェン物語』第一話 第一章

https://youtu.be/kMO8mipMSTA

 

 

1.選帝侯ソナタ第1番 変ホ長調 WoO47-1 第一楽章

 

ハイキマシタ!しょっぱなから「なにそれ?曲」!!!!

 

 

この3つの選帝侯ソナタは、ベートーヴェンが書いたはじめてのピアノソナタ

皆様ご存じの通り、きちんと作品番号を付けたピアノソナタは32曲ですが

それに着手する前に生み出された、いわばベートーヴェンのルーツですね。

 

ケルン選帝侯、マクシミリアン・フリードリヒに献呈されたことから、選帝侯ソナタと呼ばれています。

ちゃんと劇中の内容にもリンクさせてるんやから!

 

これ、ベートーヴェンが12~13歳の時に作ったんやけど、すでに立派な風格さえ漂ってない!?

ハイドンの後期のピアノソナタによく似ている。EsDurだし。

構成感がしっかりしていて、ネーフェ先生の教えをしっかり守っているなぁ、という印象です。楽曲分析初級の授業に教材として使いたいわ。

 

譜面を見ると、ディナーミックがすごく細かいのが特徴。なんなら不自然なぐらい。

 

 

どんなに大作曲家であっても子供のころの作品って、若書きすぎて演奏会で弾くのはちょっと・・・ってものが多いけど

この選帝侯ソナタハイドンモーツァルトを置くような感覚でプログラミングしても遜色ないなぁと思いました☺

巨匠ピアニストはちょこちょこ録音残してるし。ほぼ『ベートーヴェン全集』でだけやけど(笑)

 

 

 

 

2.ピアノソナタ第1番 ヘ短調 Op.2-1 第一楽章

 

ボンで選帝侯ソナタを作曲してから10年、22歳になったベートーヴェンはウィーンへと旅立ちます。

憧れの地で本格的に作曲活動を始めようとする青年の心意気を感じまくるのが、このソナタ第1番!

 

いやぁ、すっっっっばらしい曲やったわ・・・・

かっこよすぎる。

 

選帝侯はまだ、ハイドンぽいなーとか、この時代の作品やなーって感じがするけど

1番のソナタからはもうおもいっきりベートホーフェン!!!』ベートーヴェンのドイツ語発音

 

 

実は私、コロナ自粛期間中、演奏会や受けたかったコンクールの予定が消えていく日々に嫌気が差して

半ばヤケクソになり、勢いで

ハイドンモーツァルトベートーヴェンピアノソナタを全曲弾く」

というアホな試みをやりました。

 

弾けるようになることが目的じゃなく、まじで初見で一回ずつなぞるだけ。ミスっても特に弾きなおしたりせず

ハイドン54曲、モーツァルト18曲、ベートーヴェン32曲を来る日も来る日もひたすら弾き続け、目をカピカピにしながら全曲制覇しました。

 

私の性格上、「いくつかの曲をじっくり時間をかけて深めて練習」を、演奏会がない状態の中モチベーションを保ってやるのはキツくて

「意味あるかないかはさておき、何かやり切ったという目に見える結果がほしい」という動機で取り組んだ。

実際、弾いたけど全然覚えてない曲いっぱいあるし、これをやったことによってピアノが上手くなったわけではない←

 

けどこれが、本当にやってよかったんです。自己満ですが。

 

こんなん弾く人おらんやろっていうハイドンの初期のソナタにも、彼の交響曲との共通点を発見できたりとか

メヌエットのテンポ感作りのコツが自分の中で少ししっくりきた気がしたりとか

モーツァルトハイドンよりなんで演奏効果あるのかわかった気がしたりとか

ベートーヴェンハンマークラヴィーアを一応弾いてみれたとか(笑)

 

これは時間がないとなかなかでけへん取り組みやったから、コロナの時にやってよかったこと第一位です。

死ぬまで忘れないコロナの思い出。

 

 

話は逸れましたが、そんな古典派ソナタ全曲制覇の時にね

ハイドンからずーっと流して弾いてきて、ベートーヴェンに入った瞬間に

「うわ、ベートーヴェン、めっちゃ変!前期ソナタからすでに変!」って思ったの。

 

1番から構成、和声、手の使い方、どれをとってもめっちゃ革新的。絶対ハイドンにもモーツァルトにも聞こえない。

まずわかりやすい見た目の話やと、4楽章あるし。

今となっては普通でも、当時から見るとびっくり仰天すごいことやし

それを自分の1曲目のソナタからやっちゃうベートーヴェンって、すごくない?

新しいことしたくて仕方なかったんやなぁーと思いました。

 

ちなみにソナタ1番、2番、3番は、ウィーンでの師匠であるハイドンに献呈されています。あんまりハイドンからの影響感じないんやけど、ケンカ売ってるのではなかろうか・・・(笑)