ベートーヴェン物語 第一話 第二章 曲目解説
『ベートーヴェン物語』第一話 第二章
「ベートーヴェン、こんな曲作ってたんや」って驚いたこちらの作品。
一つずつ#が増えていき♭が減っていく形式で転調を繰り返して
タイトル通り、一曲の中で全ての長調が出現するという遊び心溢れるめっちゃおもしろい曲です。
なにこのベートーヴェンジョーク!
(今回の劇中では残念ながらイ長調までしか弾いてないけど)
オルガンで弾くことも想定してる(っていうかオルガンで弾いたほうがよさげ)だけあって曲調は完全なバッハのフーガ。
作品番号はop.39やけど、実際にこれ作ったのは20歳ぐらいだそう。
今回の物語の台本のおかげで、ベートーヴェンがオルガン弾いてたってこと初めて知れて、そこからこの曲も知ることができました。
2.ピアノソナタ第2番Op.2-2 第一楽章
ソナタ2番です!
まず、ベートーヴェンの前期のソナタって演奏時間長いんだね。この曲全楽章弾いたら23分ぐらいある・・・
最近前期のソナタを真剣に聴いたことも勉強したこともなかったので、時間的にも内容的にも「前期は軽い・後期になるほど重い」って、イメージだけで勝手にキメツケてたけど、全然そんなことないわ。前期からめちゃめちゃ容量も内容もあるわ。
2番も1番と同様、ハイドンに献呈されてるけど、1番と曲調はがらっと変わります。
同じ人が同じ時期に書いた曲とは信じがたいぐらい違うよね。
というか、ベートーヴェンピアノソナタって、32曲どれも似てないところが素晴らしいと思うわ。32曲全部にそれぞれ違うカラーがある。
まぁそんなわけで、悲劇的な性格の1番(一楽章)とは打って変わって、2番はどちらかというと軽やかで優美な印象の曲。
リズムのおもしろさで見せる部分と、スラーで歌うメロディックな部分が
短いスパンでコロコロ変わる対比も、弾いてておもしろかった!
専門的なことを話すと、イ長調の曲で提示部が普通にホ長調で終わるくせに
一瞬のホ短調を経ていきなりハ長調で展開部が始まるという仰天なテクニックもあり
なんかもう・・・2番目のソナタにして・・・第九とかそっちらへんさえも彷彿とさせるような・・・めちゃくちゃすごいことやってるよね・・・・萌えるわ・・・/////
前期ソナタも大人になった今だからこそしっかり勉強してみたいと思った次第です。
3.創作主題(トルコ行進曲)による6つの変奏曲 ニ長調 Op.76
ストーリーの中でも語られているように、ウィーンにやってきたてのベートーヴェンが人気を博したのは、即興による変奏曲の演奏でした。初めて楽譜が出版されたのも変奏曲だし。
今回BGMに使った他の曲は、お話の年代のものから選ぶようにしたんやけど
BGMじゃなくて聴いていただく1曲は、できるだけ名曲路線のほうがいいかなと思ってこれにしました。
多分、第二話以降もそのスタンスになるかな。
なのでこのトルコ行進曲変奏曲は、このお話の時には生まれていない中期の作品。
さらに、この変奏曲が生まれた時には、この主題に『トルコ行進曲』という題はついていなくて
後にベートーヴェンが作曲した劇音楽『アテネの廃墟』という作品の中で同じメロディがトルコ行進曲として使われ、有名になったことから
オリジナルであるこの変奏曲の主題も『トルコ行進曲』と呼ばれるようになりました。
最初、抜粋でいいかなと思ったんやけど、各変奏がどれもキレイでどれも重要で!いらんバリエーションがなく!!!
結局全部弾きました。
それぐらい、ベートーヴェンの変奏曲はソルフェージュ的にただ拍子やリズムが変わるだけじゃなくて、一つ一つの変奏が持つ性格そのものが違うし、それによって出てくる音色も違う。そこがすごく魅力的なんです。
しかしなんでみんなこの曲あんまり弾かないんやろう!?コンサートで弾いてるの、私聴いたことないよ?ってまぁ私も今回初めて弾いたけど。
もっと深めて練習を続けたら、あんまり弾かれない理由もわかるのだろうか・・・(笑)
「台本的に変奏曲がいいなぁ~」「じゃあ皆さんお馴染みのトルコ行進曲でいっかぁ~」という単純明快な思考回路で弾いてみた曲だったけど
思いがけず、今後も使いたいかも!と思える曲との出会いになりました☺
第一話で演奏した曲は以上です!
二話以降もこんな感じで数曲ずつ演奏していく予定。・・・・結構大変だな。まだ何を弾くかとか何も決めてないし。
急に決まったベートーヴェン企画ではあるけど、せっかくのいい機会なので今後も楽しく取り組めたらいいなと思います^^
第二話は8月頃アップを予定しています。どうぞお楽しみに♪