すったもんだ日記帳 Yuriko Hara’s Blog

Pianist 原 由莉子 のmusikalischな日々

ベートーヴェン物語 第四話曲目解説

先月12月16日、ベートーヴェンの250歳のお誕生日に開催した

音楽朗読劇・ベートーヴェン物語。

YouTubeでお届けしてきた一・二・三話、そして初お披露目である最終話を含む演劇風の完全版を上演し、好評を頂きました🙇‍♀️

 

 

しかーし!

YouTube版でお送りしてる、一〜三話の最終話が無いというのもダメだよね、、、

ということで!!!

YouTube版の第四話も製作いたしました😘

 


ベートーヴェン物語 第四話

 

これまでのYouTube版をお楽しみいただいていた方にも、生演奏会にお越しいただいた方にもお楽しみいただけるよう、曲目は変えてあります👍

 

 

てことで、この曲目解説も最終回ということになるね!

相変わらず独断と偏見によるけど今回も書いていくね!!!

 

 

 

 

1.ピアノソナタ第29番Op.106『ハンマークラヴィーア』

 

一分しか弾いてませんが、、、、すんげぇ難しかった!!!!!

 

それもそのはず、ベートーヴェンがピアノという楽器の限界に挑んで書いた曲で、技術的にも無理難題なことを詰め込みすぎて

当時のピアニストには演奏不可能と言われていたそうです。

でもベートーヴェンは「50年ぐらいしたら誰かしら弾けるようになるわ!!」と言ったらしい。

うーん……200年経ってもなかなか弾けないぞ…………

 

タイトルの『ハンマークラヴィーア』というのは、イタリア語であるピアノのドイツ語で

ベートーヴェンが『ハンマークラヴィーアのためのソナタ』と書いたことから、そう呼ばれるようになったそうです〜

 

 

超大作な曲のわりには、すごくさわやかで若々しいキャラクターなんじゃないかなと思うんやけどどうでしょう。

後期になるにつれて、どんどんロマン派的な表現が多くなるソナタの中で

この曲はもう一度基本に立ち返ってみたような、、、前期に登場しても違和感ないかもしれません。

暗くない・重くない、かといって暑苦しくもない前向きなキャラクターが、この後期に出てくるのが逆に新鮮。

 

ちなみに私は、交響曲4番や、ピアコン2番が大好きなので、ベートーヴェンB durが好きなのかもしれないです。

 

2.交響曲第9番Op.125 第四楽章

 

この演奏はピアノ版で、しかも別に価値のある編曲とかでもないので、特に言いたいことはないです←

 

第九そのものの解説については、YouTubeをご視聴くださいませ(^^)

初演シーンのポエティックな脚本は

一楽章からのシーンを表して書いたよ!めっちゃ浸っています!

第九をご存知の方は、想像しながら見ていただけると嬉しいです(^^)

 

 

3.ピアノソナタ第30番Op.109 第一楽章

 

全32曲あるピアノソナタの中でも、上位3曲にランクインするであろう、本当に大好きな曲です。

 

ただ、おそらくピアニストはみんな好きやから(?)、コンサートやコンクールでもかなりよく弾かれる作品なので

手垢がつきすぎているというか…(めっちゃ言い方悪いなwwww)

 

「別に今弾かなくていいかな…」って思ってたんやけど

改めて弾いてみたらやっぱり最高にいい曲やったァァァァァ

 

 

 

これ、楽譜見ないとなかなかわからんのやけど、始まりがアウフタクトなんですよ。

それによって生まれる、浮遊感や非現実感の素敵加減がたまらん。

 

すごく細かく登場する、pやcrescendo、f、のディナーミックも

その『不自然さ』が、夢と現実の間を行き来するような印象を与えてくれます。

 

右手は超高音、左手は超低音、と、使う音域が広く

真ん中がぽっかり空いたスケールの大きい響きは、世界の広さみたいなものまで感じられる気が。

30、31、32番の三曲ソナタの中で一番ロマン派っぽい性格じゃないかなと思ってます。

 

 

かなりどうでもいいけど、これ人生初めて1テイク目を採用した( ^ω^ )←どうでもいい

 

 

4.6つのバガテルOp.126より第3番

 

このベートーヴェン物語の選曲をする時

とりあえずソナタを順番に思い浮かべる

変奏曲集見る

小品集見る

という順番なんですが

小品にヒットする確率が高いヽ(〃v〃)ノ

 

今まではあんまり弾かれない曲を弾いてきたけど

バガテルはまだ一番有名なのかな。

 

 

ピアノレパートリーの後期作品といえば、どうしてもラストソナタ三曲を思い浮かべるけど

このバガテルの方がずっとずっと後に書かれた作品。

 

第九を完成させたあと、いよいよ現世から離れていくような作風になっていく中

この126-3もいい意味で何かを諦めたような安堵感のある、あたたかい曲。

 

声部の展開は後期弦楽四重奏も彷彿とさせる。(脚本にもぴったりでしょ?)

最近、弦楽四重奏第13番Op.130にハマってて(ていうか、13番もB durや!!🙄驚き!!)

そのなかの5楽章が特に好きなんですが

それにもかなり似ている。

我ながら、最終話最後の曲にぴったりな曲を選んだなと自演自讃しています\(^ω^)/

 

これを舞台で演奏して、人に何かを伝えられるようなピアニストにいつかなれるように

技術的にも人間的にも、ずっと成長し続けていきたいと思いました。

 

 

 

 

というわけで、去年6月から続けてきたベートーヴェン物語、ここに終結

 

こんな形でベートーヴェンの作品にたくさん触れることになる年になるとは考えてもなかったです。

企画を持ちかけてくださったくみくみさんには大感謝。

当初は、ベートーヴェン生誕250年にかこつけた生の演奏会の企画として持ち上がったものやったんやけど

コロナの世の中になってしまい、「このまま頓挫かなぁ…」と残念に思っていたところ

リモートでのご提案をいただきました。

 

でもリモートやからこそ、広く浅くたくさんの曲に触れることができて本当に楽しかった〜♫

歴史的な勉強もできたし♫

 

そして、厳しい時期ではあったもののなんとか開催できた12月の生の演奏会。

YouTubeをお楽しみいただいていたお客様にたくさんお越しいただくことができて感無量でした。

ベートーヴェン役を演じてくださった、若月咲弥さんも、本当に深く役作りをしてくださって、素晴らしかったです。

楽家だけじゃなく、いろんな方にベートーヴェンを身近に感じていただけた気がしている!

 

 

新しい活動だったけど、本当にいい経験になりました!

 

たくさんの方にご視聴いただけると嬉しいです☺️✨