すったもんだ日記帳 Yuriko Hara’s Blog

Pianist 原 由莉子 のmusikalischな日々

フォルテピアノを聴く

去年のクリスマスの日のことを書きます。

いいんだ、もう自分のための日記だから!!!

 

 

 

ピアニスト川口成彦さんによる、フォルテピアノリサイタル。

 

……って、こんなコアな企画を、この筋のプロフェッショナルお呼びして成り立たせちゃうフェニーチェ堺(大阪府のホール)、すごい。

 

我が家から車で約30分のフェニーチェ

クリスマスということも考慮して、1時間以上前に出発

 

 

したものの………

 

 

国道、激混み。

 

 

いやー、完全にクリスマスなめてたわ。

ステイホームとは…。

 

かなり早い段階で遅刻の警鐘。

かと言って、今から近くの駅に車を乗り捨てて電車に乗ったとしても、どうやら間に合わない……。

 

 

進めぇ〜進めぇ〜🚗と念じながら運転しておりましたが

結局到着したのは開演から20分後 泣

 

 

到着してプログラムを見てみたら

なんとっ!!!!!

 

大好きでありながら、実演で聴けることはかなりレアな、ベートーヴェンのアンダンテファボリが載ってる!!!!!

 

 これ

klavier888y.hatenadiary.com

 

 

てか

 

まさに今、目の前のモニターの中で弾いていらっしゃる!!!!!!!

 

 

わ〜〜〜ん

これ客席で聴きたかったよおおおお(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

こんな貴重な機会は、もしかしたら一生ないかもしれんぞ(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

 

がっくりうなだれながら

スピーカーに張りついて聴かせていただきました………。

見かねたスタッフがモニターのリモコン持ってきて、ボリューム上げてくれたわ………。

 

 

曲間のMCの時にコソコソと入場…すみません、ほんとに……。

 

 

10月にモーツァルトのコンチェルトでご一緒した茂木さんがトークゲストとして出演されておりました。

 

 

あ!今更ですが

フォルテピアノってのは、ピアノが現在の形になる前の

モーツァルトベートーヴェンの時代に使われていたピアノのことです。古楽器ですね。

今のグランドピアノよりも鍵盤の数が少なく、木でできていて、音色も随分と違うんですが

当時は『ピアノ』っつったらこの楽器やったので、モーツァルトベートーヴェンが意図した演奏により近いであろう表現が叶うわけです。

 

続いての演奏は、テレーゼ。

私も秋のプログラムにいれていたソナタだったので、記憶に新しいうちに古楽器版を聴けてラッキー❤️

 

「この部分は一体なんなんやろう?🤔」といまいち納得しきれないままやった箇所も、今回この楽器で聴いてみてスッキリ解決🙄

「なるほど、ベートーヴェンはこの響きを想定してこう書いたのか!」と、やっとわかることができたのでした。すごくすごく、勉強になった!

 

 

休憩明けは、32の変奏曲。

この曲は今のグランドピアノで聴く演奏よりも、むしろ音色が多彩に聞こえて魅力的だった!

音域によって音色の変化が顕著やからかなぁ?各変奏ごとの性格が明確に表われてる感じがしました✨

 

 

 

最後は本日のメイン、ピアノソナタ『熱情』

 

………のはずが!!!

 

32のバリエーションの熱演によって?

 

真ん中のドの鍵盤の音が、弾いても鳴らなくなってしまった( ゚д゚)

 

 

川口さん「しばしお待ち下さい……ヤマモトさーん!」

 

 

と、袖で控えていらっしゃった、今日のフォルテピアノの持ち主の山本さんを舞台上に呼び込み(笑)

 

この山本さんというのが、世界で指折りのフォルテピアノ修復師さん。堺市のご自身のアトリエにたくさんの楽器をお持ちで、古楽器界における神みたいなスゴイお方なのです。

 

フォルテピアノはその歴史的価値が故にとても繊細なので

たくさん弾いたり、舞台でちょっとキツめの照明を浴びたりするだけで、すぐに音程が狂い、不調が起きてしまうらしい。

 

でもそんなアクシデントも、フォルテピアノリサイタルならでは!って感じで

不謹慎ながらもちょっとワクワクしちゃう😂

 

山本さんが修理している間、急遽もう一度トークゲストの茂木さんも舞台に上がられ、川口さんとトーク

皆さんそれぞれ臨機応変な対応をしてくださり、なんかむしろお得感すら感じる始末。

 

修理が終わり、茂木さんの「ちゃんとドの音が鳴り、『ドうにかなった』ということで」という素晴らしい締めのお言葉👏👏👏で緊急事態は無事収束!

 

 

気を取り直して熱情ソナタをゆっくり聴かせていただきました。

 

これも、今のグランドピアノで聴くのとは、ずいぶん印象が違ったなぁ。

 

楽器個体の性質による部分が大きいのか、川口さんのアプローチによるものなのかわからんけど

バスのぶわ〜んとした響きの上に高音がのっかっているところがすごく綺麗で

そのせいでずいぶん柔らかく、あったかい曲に聞こえた。

 

現代ピアノだとどうしてもごちゃごちゃした印象があった熱情やけど

この日は、静と動の『静の部分』の魅力が際立っていた気がします。

 

 

 

 

 

終演後は茂木さんにご挨拶、川口さんともお話させていただき

皆さんのご好意で、なんと私もフォルテピアノを弾かせていただきましたー✨✨✨

 

う〜ん💓なんとも言えない鍵盤の触り心地。

なんか不思議と感触と音色がマッチしている😌

そんなこと現代ピアノやとあんまり考えたことなかったけど

『楽器そのものを愛でたくなる』ね。

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本当にステキな体験やった!どうもありがとうございました♫

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帰りは30分足らずで家に着きました(爆)