ベートーヴェン物語 第三話 曲目解説①
隔月16日に更新している、ベートーヴェン物語。
10月は第三話をアップしました!
今回のテーマは『不滅の恋人への手紙』。
ベートーヴェンが遺した、情愛ほとばしるラブレターを元に
ベートーヴェン周辺の女性たちとのエピソードを書きました。
ただ、「手紙を送った相手は誰なのか?」というところに踏み込んでしまうと無責任な発言はできません(;ω;)ってかわかりません(;ω;)
あくまでもベートーヴェンの恋バナというか、ベートーヴェンにはそんな一面もあるのかー!という視点でお楽しみいただければ( ^ω^ )
そしてそして、今回の曲目も大変濃ゆいです。
まさに「傑作の森」時代のお話なので、何を弾いても素晴らしい……。
1.アンダンテファボリ WoO.57
でた!「これは一体なんですか?曲」。
私もピアニストが実際に演奏会で弾いてる現場には出くわしたことない。が、すごく好きなので、今や!といわんばかりに弾いてみました。
もはやベートーヴェン物語は、すごく好きだけどあんまり弾けない曲を弾く場と化しています。
タイトル、アンダンテファボリは「お気に入りのアンダンテ」といった感じ。ベートーヴェン自身がお気に入りでよく弾いていたそう。
「さりげない小品のわりには、なんかやたらグッとくるパワーがある曲やなぁ…」と思っていたら
なんと!!!
もともとソナタ21番『ワルトシュタイン』の二楽章として書かれたものの却下になった曲らしい!!!!!
却下になった理由は「長すぎるから」(笑)
たしかに、ワルトシュタインの二楽章としてこれ入ってたとしたら、確実に寝る←
妙に凝りすぎてるしバランス悪かったかもな。
変えて良かった←
ほんでこの時代のピアノ作品ではワルトシュタインは外せないよなーーー
……という皆さんの期待を裏切って(?)の
このアンダンテ(^ ^)ツウウケ狙ってます!!
ベートーヴェンの中では家庭的・身内的な雰囲気漂う、すこぶる美しい作品。
リサイタルで前プロにいつか絶対いれてみたい!
2.ピアノソナタ第14番『月光』第二楽章
ジュリエッタの話してるのに、BGMが13番でも月光でもないというのはさすがに違和感しかなかったので
当初に掲げた「BGMはストーリーに沿った時代に書かれた作品を弾く」という自分ルールをあっけなく破りました←
ので、今回弾いたもののなかで、月光だけがちょっと古いです。
ちなみに研究の結果、ジュリエッタが不滅の恋人である可能性はほとんど無いらしい…。
脚本の中にもある、ジュリエッタに贈られた2つの幻想的ソナタが、ソナタ13番と14番の月光。
ソナタにファンタジーとつけちゃうなんて絶対これまでになかったことなので、ベートーヴェンの気合いを感じる。
というか、このへん……12番・13番・14番あたり、激アツじゃないですか?
明らかにそれ以前のピアノソナタと様子が違うよね!
で、月光なんですが
私「なんかしらんけど妙にめっちゃ好きな曲」として、この月光二楽章が挙がる(笑)
特に思い出もなければ人前で弾いたこともないけど、すごく好きです。二楽章だけ。
のちにリストがこの二楽章のことを
「2つの深淵の間に咲く一輪の花」
と呼んだらしいんやけど
まさにピッタリではないでしょーか(o^^o)
このソナタ、全楽章を通してひとつの緊張感が持続している性格なので
一楽章と三楽章の間のこの可憐な二楽章がフッと肩の力を抜かせてくれて
すごい効果的やな〜と思います🌼
皆さん是非全楽章通して聴いてみてください。
3.ピアノソナタ第24番『テレーゼ』
ブルンスヴィック家の話をしてるバックで何を弾こう〜?と思った時に
やはりテレーゼしかないだろう、と。
今回お話の中では、ベートーヴェンとヨゼフィーネの恋愛模様をとりあげましたが
実はベートーヴェン、姉のテレーゼとも恋愛していました。
そしてそのテレーゼのために書かれたのがこのソナタ。
旋律がしっかりあって歌心溢れる中にも、聡明な雰囲気が残っているところが
テレーゼという女性像をくっきり浮かび上がらせてるなぁと思います。
月光は嬰ハ短調、テレーゼは嬰ヘ長調という、どちらもかなり特殊な調性を使っているのも注目。
ベートーヴェンにとって、シャープ系は女性的やったのかしら…?