ショパンピアノ協奏曲第一番 曲目解説
またまたプロモーション記事です。
他に書くことないんか!?ってね。
ないんです!!!すみません!!!
というのも、あともう少しなんやもん(´;ω;`)
ショパン協奏曲を演奏させていただく神戸フィルさんの定期演奏会が、いよいよ今週の土曜日となっております!
これまでのPR記事はこちら
ワルシャワ旅行
兵庫でショパン展
今日は、自分が演奏する曲については毎回、お客様にアツクルシク喋るoderアツクルシク書かないと気が済まない私の独断と偏見による、コンチェルトのプログラムノートを綴りたいと思います。
もはや弾くことより書くことの方に熱が入っている!?
皆様どうぞお付き合いくださいませ。
まず、作曲家ショパンとこのコンチェルトの基本情報☆
ポーランドはワルシャワで生まれ育ち、パリへと移ってピアニスト・作曲家としての名声を得たショパン。
ポーランドを出た後は死ぬまで一度も祖国に戻ることはありませんでしたが、作品に散りばめられたポーランドの民謡や民族舞踊のエッセンスからは、ショパンの並々ならぬ祖国愛を感じます。
ピアノ協奏曲第1番は、ショパンがポーランドを旅立つ直前(20歳!)に書かれた作品。
一楽章のピアノソロが入る前の4分近くあるオケの序奏は、ポーランドを背負って国を発とうとするショパンの勇姿、また祖国を離れる名残惜しさと重なります。
ロマンスと名付けられた二楽章は、まるでうっとりするようなノクターン。
ショパンが友人に送った手紙によるとこの楽章は
「静かで、憂いがちな、それでいて懐かしいさまざまな思い出を呼び起こすようなある場所を、心を込めてじっと見つめているようなイメージ。美しい春の夜の、月光を浴びながら瞑想するようなものでもある。」
そうです。
ちょうどそのころショパンは燃えるような初恋中で
先に書かれた2番のコンチェルトの二楽章は彼女のことを想って書いたものだし
1番の二楽章もそういう性格のものといっていいと思います。
三楽章は、ポーランドの民族舞踊、クラコヴィアク!
二拍子の踊りです。
実はショパンは二曲のピアノ協奏曲の前に、「演奏会用ロンド『クラコヴィアク』」っていうピアノと管弦楽のための作品を書いてて、、、
全然演奏される機会がないから(なんで?)私もこの度初めてYouTubeで聴いてみたんやけど
それがもう、1番の三楽章に激似なのである。
この冒頭のヨナ抜き音階の旋律、三楽章のアレコレやってひと段落するあそことまるで一緒\(^o^)/
ちなみに、アレコレやってひと段落するあそこのことを、私は「『男はつらいよ』のとこ」と呼んでるんやけど(笑)
日本人の魂に沁み渡るメロディーですよね〜(*´∀`)♪
とまぁそんなわけで、この時のショパンはクラコヴィアクが好きやったわけで
ショパンの気持ちを代弁するようにウキウキ弾きたい♡
・・・・・というのが最低限お伝えしておきたい解説の土台。
それに加えて!私が今回意識するのは
この曲の中の、ショパンらしさ、というより
ウィーンらしさ(・∀・)
ここぞとばかり、ウィーン帰りを推す(笑)
ショパンはワルシャワを出るまで、ユセフ・エルスナーという先生から作曲の手ほどきを受けていたのだけど
この人はもともとドイツ人の血筋で、ウィーン派に属する音楽家。
当時のウィーン音楽界の大スター、フンメルがやってきます。
演奏にも作曲にも大感銘を受けたショパンは、進んでフンメルと面識を持ちました。
この頃の音楽界は、古典派の時代が終わり、代わりにツェルニーやフンメルによる、今までよりももっと演奏の技巧を華やかに発揮させるようなスタイルが流行中。
内面的な表現を深める作品というよりは
外面的でピアニスティック・ヴィルトゥオーゾなきらびやかなものをアピールする音楽が聴衆にウケておりました。
そんな時代に、19歳のショパンは演奏旅行でウィーンへ行き
ピアニストとして華やかにデビュー。演奏旅行は大成功。
そして一度ワルシャワに戻ってからこのコンチェルトを書き
完成直後、音楽家としての成功を夢見て
20歳のショパンはウィーンへ旅立つのです!
2回目のウィーンでは上手く音楽活動ができず、政治的なゴタゴタもあって
そのままパリへ行った後、死ぬまで一度もワルシャワには帰れなかったんやけどね。。。
ウィーンでのショパンのおうちは
この王宮が見えるコールマルクトの通りにあります。
建物に掲げられた【ショパンが住んでいたよ】プレート
結局何が言いたいかと言うと、このコンチェルトは
「ウィーン派のドイツ人の先生についていて、フンメルを尊敬していたショパンが
ウィーンでの演奏会成功と、次のウィーン行きの間に書いた」
のです。
言ってもまだ10代の男の子。 作曲する上での意識はきっと師や当時の流行スタイルの影響も大きいでしょう。
そしてこの曲に限らず、私が作品を勉強する上で常々意識しているのが、、、
現代の私たちは、歴史を未来から見られるけど
作曲家本人はまだ未来のことは知らない
ということ。
つまり、このコンチェルトを書いた若者ショパンは
今でこそいわゆる「ショパンらしい」と言われる、繊細でどこか翳りのあるような作品をまだ作っていないし
彼の創作人生に大きな影響を与えた彼女・ジョルジュサンドとはまだ出会ってすらいないし
自分があと20年で死ぬことだってまだ知らないのです。
だから、勝手に私たちが「ショパンらしい」と決めたイメージをこの頃の作品に塗りつけず
ウィーン・ドイツ系の形式美や骨太さ
そして、ショパンがウィーンでの大成功で得た自信、これから世界へ羽ばたいていくのだという野心が溢れる、瑞々しくってイキイキした方向で作りたい。
ノクターンとかはすでに書き始めてるから
ただ技巧的なことを見せつけるだけでは、残念ながらショパンにはならない。
そのへんのバランスをいい感じにとれたらいいなぁと思っています(*^_^*)
きちんと楽譜通りに弾けば、いい塩梅になるように書かれてると思うし!
本番振っていただく朝比奈さん・オケとのリハーサルもして、ますます本番が楽しみになってきました♫
私はショパンのことばっかり宣伝してますが
オープニングのエグモント、メインのドヴォ8も
皆さん気合いのリハーサルをなさっております!!!
神戸フィルハーモニック 第79回定期演奏会
2019年11月30日(土) 14:00開演
神戸文化ホール 大ホール
ベートーヴェン: エグモント序曲 作品84
入場料
一般:3,000円 (前売り2,500円)
大学生以下:1,000円
まだまだお席ございますので
皆様お誘い合わせの上、是非是非お越しください(^ ^)