11月の記録 後半
11月21日 ティータイムコンサート
こちらも発売後即売り切れとなってしまった公演だったので
「皆様からの期待値ハイ!!」でこちらもワクワクでした(*^◯^*)
この日は珍しく、客席のほとんどが女性!!!
いや〜それだけでいつもの空気と全然違ってびっくりしました。
女性客の前で弾くって、こんな感じなのか〜。
なんか、お行儀がいい。笑
(決していつものお行儀が悪いと言ってるわけではないよ😆)
バッハ:イタリア協奏曲
ベートーヴェン:悲愴 二楽章
トルコ行進曲の主題による6つの変奏曲
ピアノソナタ第24番テレーゼ
ショパン:バラード第1番
を弾いたんやけど
テレーゼやバラ1を弾いてる時の、空気の華やぎ方がすごかった!
女子ウケを感じた!!!!
あと、トルコ行進曲の前に「徹底解説コーナー」というレクチャーコーナーを設けて
トルコ行進曲の由来やリズムの話
「各変奏が一体何をやってるのか?ベートーヴェンは何をしたかったのか?」を部分的に弾きながらガチアナリーゼしてお話しする企画をしました(≧∀≦)
こういうのずっとやってみたかったから念願叶って嬉しい❤️
関ジャムを毎週のように観てたのが役に立ったわ。(?)
11月22日のイイフウフの日にちなんで
プログラムには載せず、青春の輝きと糸も演奏した♫
これはセットのケーキとドリンク☕️
私も終演後にいただいた❤️
ほっこりした時間を皆さんと過ごせた😚
楽しかったです!
11月28日 ベートーヴェンの軌跡〜作品から読み解く楽聖の人生
@岸和田市立自泉会館
11月のコンサートラッシュ、トリを飾るのは
地元・岸和田でのリサイタルでした。
これまでに何度も演奏の機会を与えてくださっている岸和田文化事業協会さんには本当に感謝です🙇♀️
「ベートーヴェンで何かやってください」とのリクエストで、ピアノでとなると
やっぱりベートーヴェンの時代ごとの作品を取り上げていくのが一番よなぁ〜となり
悲愴op.13 (前期)
トルコ行進曲op.76 (中期)
テレーゼop.78 (中期)
そして、ピアノソナタ第32番op.111 (後期)
をお送りしました。
ベートーヴェンが生涯どの時期においてもピアノ曲、特にピアノソナタを作り続けてくれてたおかげで
ピアノ曲を辿ると、自ずとベートーヴェンの人生が見えるわけです。
前期、中期、後期と順番に聴いていただくことで
それぞれの時代の作品の特徴・違いをかなり明確におわかりいただけたかと思います⭐️
そして、このコンサートについて書かずにはいられないのは、やっぱりベートーヴェン最後のピアノソナタ111について。
今回いろんな方から「若いうちから111弾くなんてすごいね」(訳:よくやるね)(?)と言われたのですが
私は「いや〜オバさんになったからといって急に上手に111が弾けるようになるとは思えん……むしろ体力的に今しか弾けない可能性だってあるぞ………」という感覚だった(笑)
「111を弾くこと」自体がメイン・最終目的にならないように……あくまでも「作品」を聴いてもらうことが第一目的になるように気をつけていました。
そうは言っても、やっぱり作品の存在はデカかった!!!!!
生半可な気持ちでは本当の意味で弾けるようにならない曲〜😇
かなり精神的に強くいないと、お客さんも弾いてる本人も「これは一体なんの時間…?」ってなってしまう🤣特になが〜い二楽章が……。
まとめないといけないけど、でもあんまりきれいに整理整頓してしまってもこの曲の不思議さや神秘性が失われてしまうし
う〜ん!たしかに「若いうちから111弾くなんて」って言われるはずやわこりゃ😅
だけど、準備期間は本当に充実の時間でした。
耳の聞こえないベートーヴェンがどんな音を聴いていたのか・頭の中にどんな響きが鳴っていたのか……
時間も国も飛び越えて、今ここで再現したい、表現したい、近づきたい………
そんな気持ちで真摯に向き合えた。
本番もいい集中力で演奏することができました。
1楽章と2楽章の間の、この世から人がいなくなってしまったのかのような信じられないような静寂は……今思い出しても鳥肌が立つ………
後で録音を聴いたら、ミスもあるし、まだまだ直したいところだらけやったんやけども😂
濃密な時間や呼吸をお客さんと共有できたあの感覚は、生のコンサートでしか味わうことのできない貴重な体験やったと思います。
何よりもこの日一番嬉しかったのが!!!
よく演奏会に来てくださる、でもクラシックに関しては初心者のお客さんからの
「最後のソナタを聴いて、ベートーヴェンはきっと優しい人やったんやろうなと思いました。」
というご感想。これはもうほんまに涙が出そうなぐらい嬉しかった。
こんなことを言っていただけただけで、この日頑張ってピアノ弾いた意味があったな、と。
「ハイ今日はこういう曲を聴きました」だけでは終わらず、もう一歩先の何かを感じておうちに帰っていただける…それこそが芸術の本質でありコンサートの醍醐味やもんね☺️
でもそれってなかなか演奏者が狙ってできるもんではないからかなり難しいこと。しかも練習してしまっているから、誰よりも演奏者が「上手い」とか「下手」とかに囚われてしまいがち。
そういう邪念は捨てて、本番はとにかくお客さんに何かを感じてもらうことが一番。忘れないようにしよう。
室内楽、コンチェルト、ソロと全てやり切った、まじで充実した9・10・11月でした。
帰国してから一年経たない間に、しかもこのコロナ禍にも関わらず
「原に弾かせてやろう」「原を聴いてやろう」と思ってくれる方がこんなにたくさんいらっしゃることが本当に嬉しく、なんならまだ信じられない😂
身の回りに起こることの全てが成長のチャンスだと思って
これからも一つ一つの本番を丁寧に頑張っていきます🥰
関わってくれた皆さま全てに、最大限の感謝を💕
11月の記録 前半
長らくブログを放置してしまいスミマセン………
宣伝すらできてなかったけど、11月もたくさん演奏させてもらってました。
なんともありがたいことに、どの公演もチケット発売開始後すぐに定員となってしまい、お知らせする間もなかったのでした🙇♀️
いくら客席数を限定しての開催とはいえ、コンサートを楽しみにしてくださる方がたくさんいらっしゃることが本当に嬉しかった!!!
というわけで、全て事後報告ですが、書いていきますー!
11月16日(月)
エルおおさか ランチたいむコンサート
@エルおおさか
月一回、入場無料で行われている
12:10〜約50分のコンサートに出演させていただきました。
こんなお昼に人が集まるのか…?と懸念していたけど
なんと、私が会場入りした10時頃にはすでに地域のおっちゃんたちが集まり始めているではないか( ゚д゚)
きっと毎月楽しみにされてる常連さんがいっぱいいらっしゃるんやろうな。
私の出演した今回は、なんと第229回目の開催!長く続いてるイベントの底力のようなものを感じるよな!
このコンサートは、入場無料でランチたいむと謳っていてカジュアルなわりには(?)
通りすがりに立ち寄っていただくロビーコンサートではなくて、きちんとお部屋の中で着席していただきゆっくりお聴きいただけるスタイル。
朝からグランドピアノもきちんと調律していただき、しっかりとクラシックの有名曲をお届け🎵
バッハ:イタリア協奏曲
ベートーヴェン:悲愴 二楽章
トルコ行進曲の主題による6つの変奏曲
ショパン:バラード第1番
アンコール/中島みゆき:糸
バッハイタコンは中学生ぶりに弾いたけど、余計なこと考えなくていい感じが、練習しててめちゃくちゃ爽快でした(*^^*)
バッハ弾く時の独特の感覚かも💡
いつも駆けつけてくれる若手演奏家追っかけおじさん数名さまはもちろん(?)のこと
というお客さんや
「岸和田から来ましたー!」
というお客さんなど………
どこかで私のことを知ってくれ、その後わざわざ調べて足を運んでくださる方々がいてくださることに感動〜❤️
そんなお客様のためにもホームページやブログはこまめに更新しないといけないなという思いを強くしたのであった←
11月20日(土)
ナチュラルホルンの妙技
@Salon de ぷりんしぱる
まぁそうたくさん経験することのない機会をいただきました!!!
毎年大阪クラシックでご一緒している、大フィル高橋さんからに繋いでいただいたご縁で
フルート榎田さん、バソン二口さんと4人でのコンサート♫
サロンオーナーの二口さんが主催するコンサートシリーズだったので
リハーサル含め終始リラックスした雰囲気でのお仕事でめちゃくちゃ楽しかった\(^o^)/
おじさん達の中にむにゅんと混ぜてもらい、可愛がってもらえて光栄でした〜〜〜
リハやコンサートはリラックスムードやったけど
曲目はそこそこ苦労のある曲も多く。
「フランスのモーツァルト」と呼ばれたドヴィエンヌの作品は
ほとんどピアノコンチェルトのような書かれ方で無駄に(!)ヴィルトゥオーゾなため
16分音符ミスらんようにせな(泣)という必要最低限の緊張に強いられました。(笑)
そして、ナチュラルホルンとのベートーヴェンのホルンソナタ 。
これは、出版された当初から「ホルン付きピアノソナタ」と言われてしまったほど
ピアノパートの充実っぷりがすごい!!!
ピアニスト時代のベートーヴェンが、自分で弾くことを前提に書いてるからなんやけどね。事実初演もしたそうです。
テクニック的にも音楽的にも、すごく中身のある作品で
レパートリーになって良かった☺️
この日のお客さんは、楽器マニア、特にホルンマニアの方々がずらり🙄
このシリーズに何度もでてる榎田さんでさえ
「今日のお客さんはいつもと全然違うお顔ぶれですが………皆さんホルン界隈の方ですか?」とMCされるほど(笑)
あの瞬間の肥後橋は、地球上で最もホルンマニアの人口密度が高かった。間違いなく。
ピリオド楽器MCに、客席は「うんうん」と聞いておられるのに
私は舞台上でぽかーんでした🤣
ってか、ぽかーんとしてる場合ではない。
勉強せねばですな……。
まだまだ知らないことがたくさんあるわ………。
いろいろ勉強させてもらえて、めっちゃ楽しかったです😉
後半へ〜続く!
ベートーヴェン物語 第三話 曲目解説①
隔月16日に更新している、ベートーヴェン物語。
10月は第三話をアップしました!
今回のテーマは『不滅の恋人への手紙』。
ベートーヴェンが遺した、情愛ほとばしるラブレターを元に
ベートーヴェン周辺の女性たちとのエピソードを書きました。
ただ、「手紙を送った相手は誰なのか?」というところに踏み込んでしまうと無責任な発言はできません(;ω;)ってかわかりません(;ω;)
あくまでもベートーヴェンの恋バナというか、ベートーヴェンにはそんな一面もあるのかー!という視点でお楽しみいただければ( ^ω^ )
そしてそして、今回の曲目も大変濃ゆいです。
まさに「傑作の森」時代のお話なので、何を弾いても素晴らしい……。
1.アンダンテファボリ WoO.57
でた!「これは一体なんですか?曲」。
私もピアニストが実際に演奏会で弾いてる現場には出くわしたことない。が、すごく好きなので、今や!といわんばかりに弾いてみました。
もはやベートーヴェン物語は、すごく好きだけどあんまり弾けない曲を弾く場と化しています。
タイトル、アンダンテファボリは「お気に入りのアンダンテ」といった感じ。ベートーヴェン自身がお気に入りでよく弾いていたそう。
「さりげない小品のわりには、なんかやたらグッとくるパワーがある曲やなぁ…」と思っていたら
なんと!!!
もともとソナタ21番『ワルトシュタイン』の二楽章として書かれたものの却下になった曲らしい!!!!!
却下になった理由は「長すぎるから」(笑)
たしかに、ワルトシュタインの二楽章としてこれ入ってたとしたら、確実に寝る←
妙に凝りすぎてるしバランス悪かったかもな。
変えて良かった←
ほんでこの時代のピアノ作品ではワルトシュタインは外せないよなーーー
……という皆さんの期待を裏切って(?)の
このアンダンテ(^ ^)ツウウケ狙ってます!!
ベートーヴェンの中では家庭的・身内的な雰囲気漂う、すこぶる美しい作品。
リサイタルで前プロにいつか絶対いれてみたい!
2.ピアノソナタ第14番『月光』第二楽章
ジュリエッタの話してるのに、BGMが13番でも月光でもないというのはさすがに違和感しかなかったので
当初に掲げた「BGMはストーリーに沿った時代に書かれた作品を弾く」という自分ルールをあっけなく破りました←
ので、今回弾いたもののなかで、月光だけがちょっと古いです。
ちなみに研究の結果、ジュリエッタが不滅の恋人である可能性はほとんど無いらしい…。
脚本の中にもある、ジュリエッタに贈られた2つの幻想的ソナタが、ソナタ13番と14番の月光。
ソナタにファンタジーとつけちゃうなんて絶対これまでになかったことなので、ベートーヴェンの気合いを感じる。
というか、このへん……12番・13番・14番あたり、激アツじゃないですか?
明らかにそれ以前のピアノソナタと様子が違うよね!
で、月光なんですが
私「なんかしらんけど妙にめっちゃ好きな曲」として、この月光二楽章が挙がる(笑)
特に思い出もなければ人前で弾いたこともないけど、すごく好きです。二楽章だけ。
のちにリストがこの二楽章のことを
「2つの深淵の間に咲く一輪の花」
と呼んだらしいんやけど
まさにピッタリではないでしょーか(o^^o)
このソナタ、全楽章を通してひとつの緊張感が持続している性格なので
一楽章と三楽章の間のこの可憐な二楽章がフッと肩の力を抜かせてくれて
すごい効果的やな〜と思います🌼
皆さん是非全楽章通して聴いてみてください。
3.ピアノソナタ第24番『テレーゼ』
ブルンスヴィック家の話をしてるバックで何を弾こう〜?と思った時に
やはりテレーゼしかないだろう、と。
今回お話の中では、ベートーヴェンとヨゼフィーネの恋愛模様をとりあげましたが
実はベートーヴェン、姉のテレーゼとも恋愛していました。
そしてそのテレーゼのために書かれたのがこのソナタ。
旋律がしっかりあって歌心溢れる中にも、聡明な雰囲気が残っているところが
テレーゼという女性像をくっきり浮かび上がらせてるなぁと思います。
月光は嬰ハ短調、テレーゼは嬰ヘ長調という、どちらもかなり特殊な調性を使っているのも注目。
ベートーヴェンにとって、シャープ系は女性的やったのかしら…?
ベートーヴェン物語 第三話 曲目解説②
4.ピアノソナタ第23番『熱情』
間違いなく、中期のピアノ曲の最高傑作、熱情。
曲の持つエネルギー、スケール、技術の難易度、全てにおいて
ピアノソナタという枠からはみ出している、大変ドラマチックな作品です。
『悲愴・月光・熱情』 で、ベートーヴェン3大ピアノソナタと称されるので
少なくともタイトルは有名ですね。
交響曲『運命』と同時期に作曲されていたことからか、『熱情』の一楽章にもあの有名な運命の動機「タタタ・タン」が使われている(・∀・)
ベートーヴェンがヨゼフィーネへ送った手紙の内容がすごく熱(苦し)くて。
「愛するJ、あなたは私の全ての感性を虜にしています。」などと書いている。
そんな炎のような思いの丈がこのソナタにも込められているなぁ、と。
曲調がどんなに静かになっても、激しい感情は滞ることなく渦巻き続けている、精神的にすごく熱い作品です。
が!精神的な難易度以前に、物理的に弾くのが難しすぎてびびった😭
ワルトシュタインもそうやけど、このあたりテクニック的にめっちゃ難しくなる。
それは時代によるピアノの発展によって、楽器そのものが大きい音が鳴るようになったり、鍵盤の数が増えたりしたことと大いに関係があり
作曲家の求める理想の音楽もどんどん複雑になっていってピアニストへの要求も大きくなっていったからなんだろうなぁ、と。
音楽的表現のことはもちろんのこと、テクニック・メカニックの腕を落とさない地道な練習もちゃんとしよ、と思い知らされた、初・熱情でございました。(爆)
5.ピアノ協奏曲第5番『皇帝』
こちらも皆さまご存知皇帝\(^o^)/今回は二楽章をとりあげました。
「皇帝」といえばこの時期は「ナポレオン」ですが、この時のウィーンはフランス軍から攻め込まれていて、ベートーヴェンの立場からするとナポレオンは敵…。
なので、決してベートーヴェンがナポレオンを称えて書いた曲ではありません。
出版したクラマー(この人も作曲家!有名なエチュードがあるよ!)が堂々とした曲の雰囲気からつけたものだと思われます。
皇帝といえばなんと言っても一楽章出だしが超有名ですが
今回は大好きな二楽章を弾きました♫(というかちょうどいい一人で弾けるとこがあんまなかった 笑)
音域の広い鍵盤の使い方に注耳👂
ベートーヴェンが、どんどん改良されるピアノをいかに効果的に使ってやろうか、という思いで作曲しているのがよくわかる。
ペダルも踏みっぱなしの指示が。持続するベース音の上に、星屑のような高音が混ざり合う響きは、本当に感動的……✨画期的すぎて、当時は全然流行らなかったそうですが……。
あ〜!私、5曲あるベートーヴェンのピアコンの中ではまさかの皇帝が一番好きなので(だいたいのクラシック好きな人は、4番と言う。5番は多分名曲すぎてなのか、まず挙がらない)
オケと弾きたい〜。弾きたい〜〜〜!!!!
6.エリーゼのために
実は「テレーゼさん」である、
というトリビア?は結構有名ですよね。
ベートーヴェンの字が汚かったので、出版社がエリーゼと読み間違えた、というやつです。
ピアニストのコラムなのでもう一歩踏み込むと
このテレーゼさんは、さきほどから登場している、ピアノソナタ24番のヨゼフィーネの姉のテレーゼさん、、、ではなく
また別のテレーゼさんのことなのです!ややこしい!!!
ベートーヴェンはヨゼフィーネの姉のテレーゼさんと破局した直後に、このエリーゼのテレーゼさんに惚れて、エリーゼのためにを書きました。
誰でもええんかい!!!
そしてさらに踏み込むと………
このエリーゼのテレーゼさんの叔父さんはマルファッティというお医者さんだったのですが
後に、20歳のショパンがウィーンにやってきた時、演奏の場を提供して若きピアニストを応援したり
さらにはポーランド人であることが理由で外国移動が難しいショパンのため、ウィーンからパリ行きの許可をおろさせるために手を尽くしたそうです。
えーーーいきなりショパンーーー!!!
すげぇーーー歴史すげぇーーー!!!!
話がずいぶんと逸れてしまったけど、この曲の話をしよう。
ベートーヴェンの曲って、音が縦に積み上げられている印象なんですが
エリーゼのためには、右手も左手も、両方ともうつろうような線で書かれているのが、あんまりベートーヴェン「らしくない」作品やなぁ、と思いながら弾いていました。
部屋でそこにいる人と紅茶でも飲みながらお話していて、その合間にサッと書き上げた……そんな雰囲気を感じます。
イ短調ってめっちゃメランコリックで
落ち着かない・行き着く先がない・常にゆらゆら揺れているというイメージがあるんだけど
(シューベルトのアルペジョーネとか、シューマンのピアコンとか!)
エリーゼのためにもまさにそうで!!!!!
全然安定しないそわそわした気持ちがずっとある。
冒頭の指示も「Poco moto 」=ちょっと動いて。なんじゃそれ。見たことない。
決して活発に動くわけではなく、「動かされてる」みたいな揺らぎ方なのかな。
なんという絶妙な言葉の使い方……ッ!!!
と、言葉フェチの私は大変感動しました。
いわゆる「有名曲」多めでお送りした第三話!いかがでしたか?
こうしてみると、ベートーヴェンの作風はほんとにバリエーションが豊かよな……
でもどこかに確固とした「ベートーヴェンらしさ」があるのがすごい。
次回、第四話は最終回です。さて一体何を弾こうかな?どこをとってもだいぶ渋い。
脚本書くのも気合いが入ります。
頑張ります!!!
ヨンパッパ
京都シンフォニカ定期演奏会にて、モーツァルトのピアノ協奏曲第23番イ長調K.488
弾かせていただきました♫
お世話になった皆様、こんな状況にも関わらず聴きに来てくださったお客様、本当にありがとうございました。
今回は、いつも応援してくださるお客さまはもちろんのこと(ありがとうございます!)
ちょっとイレギュラーな方もたくさん聴きに来てくださいました。
高校の時の友達や、ずっとSNS上でのやりとりはしていたもののこの度初めて聴きに来ていただけた方、
一度合唱団の打ち上げに潜入(笑)した時にご一緒した方、バーのマスター、そこのバーでたまたま知り合ったおじちゃん方、5?6年前に楽器の合宿でご一緒した方…などなど!!
後からご連絡をいただいて「えー!来てくれてたの!?」となる方がたくさんいて
感染防止対策のため直接お会いすることが叶わなかったのがさみしかったです(T-T)
早く前の世界に戻って欲しいなぁ…
何度も言うけど、このコンチェルトもほんとに、ほんっっっっとに、大好きな曲🥺❤️
高校生の時、唯一知っている「ぴあのこんちぇると」がこの23番で
当時業界の方に出会うと、手当たり次第に「私にモーツァルト23番をどうにかして弾かせてくださ〜い❤️」と、出演交渉(!?)しておりました。
どうにかって何やねん!!恐るべしJKパワー!!!!!
さすがにその営業活動は、今回のお仕事とは一切の関係はありませんが(笑)
それにしても、茂木さんとの降って沸いたような共演、さらに降って沸いたような23番。
向こう見ずなJKパワーはもう持ち合わせてないので、最近はすっかり
「こんなに素晴らしい曲を私が弾くことによってぶち壊すのが怖い!!もうずっと聴いてるだけでいい!!!」という、触れてはいけない神のような存在にまで昇格していた曲を、いきなり弾かされることになってしまったミラクル。(前向きなんだか後ろ向きなんだかわからねえ)
絶対にいい演奏にしたくて、時間は少なかったけど出来るだけ丁寧に練習を重ねました。
この曲、すごくキレイで心から幸せなんやけど、その幸せは【永遠には続かないとわかっている幸せ】みたいな儚さ・非現実的感を残したくて
その雰囲気をどうやったら作れるのか悩む日々。
私は演奏する時に感情的なことやストーリーを考えないんやけど
今回に限っては何故か「聴いてる人にこういう(言語化できないけど)気持ちになってもらいたい」というアプローチが大きかったのが自分にとってもすごく新鮮だった。
そして、モーツァルトをどこまでロマンチックに振るか?の絶妙なバランスにもこだわり抜いた😭
これはもう指揮者やオケ関係なく、全てはピアノに委ねられるし😭
あまりにまっすぐ弾くのもこの曲らしくないけど、ロマンチックすぎるとすさまじくセンスが悪くなる……そのいい塩梅を最後の最後まで探究しまくりました😭
そんなんで家では修行僧か哲学者のように作品と対峙していたけど
オケとのリハーサルは毎回楽しくて仕方がなかったです!
ピアニスト1人では多分一生わからないような、現場でしか知り得ない事がたくさん学べ、その場その場でどんどん曲への理解が深まり、自分の経験値が高まるのがひしひしとわかる感覚。本当に大好き。
どうやらエキサイトしていたらしく、後から茂木さんやオケの方から「あんなに言いたいことを言うソリストはあんまりいません」と言われる始末(爆)すみません(爆)そこまで言ってるつもりもなかった(爆)
でもそれは、みなさんの「いい演奏にしたい」という私と同じ気持ちが伝わってきたからこそ、遠慮せずにいろんなリクエストをお願いできたのでした♡
もしも「早く練習終わりたい」のオーラが蔓延していたらさすがに何も言えないわよ!
リハを重ねるごとにどんどんアンサンブルの精度が上がるのも楽しかったです♡
と、こんな風にみんなで一緒に全身全霊で取り組んだコンチェルトだったので
今オケの皆さん(特に木管)はありがたいことに、ピアコンロスだそうです。笑
私も珍しく(?)、もっと弾いてたかったなぁ〜という気持ちが大きい……。
でも、それがこの曲なんやろうなぁ。
終わりがあるからこそ美しい世界。
あの時だけ夢の中にいたんだな、っていう作品。
一瞬で過ぎ去ってしまった儚くて切ない時間を
皆さんと共有できて幸せです💗
あーでもまたやりたい!!!あの刹那的な瞬間のために、ハートも音色もアンサンブルも
いっぱいいろんなことを考えたい!!!!
「どうにかして弾かせてくださ〜い❤️」
おまけ
このコンチェルト、作品番号がK.488から
ギョーカイヨーゴで「ヨンパッパ」と呼ばれるらしい。初めて知った……。
ヨンパッパ!?語感が楽しい!!使いてぇーーー言いてぇーーーーーー!!!
と一瞬思ったものの
曲調が「ヨンパッパ」じゃなさすぎて、というかそれこそ、ヨンパッパ☆パッパラパー☆な演奏にしないよう努めていたので
多分これから先もあんまり使えません……。
ブラームスを究めた???
あれは大学一回生の時………二台ピアノのレッスンでお世話になっていた先生の演奏会にて、生まれて初めてブラームスのピアノトリオ1番を聴き、
なんて素晴らしい曲なのだ……😭✨✨✨✨
と衝撃を受けた私は翌日図書館でいろんなCDを借りて聴き漁ったものでした。
ちなみにその日、ヴァイオリンソナタ第1番「雨の歌」も初めて聴いて、涙が出るぐらい感動。
ブラームスといえば、ハンガリー舞曲とかの土着的な印象が強くて、それまではロマンチックな面を知らなかった(ほんまに音大生か?)こともあり
ブラームスって……めちゃくちゃキレイ……………
とイメージ一新。
つまり、私の今のブラームス愛はこんなふうに「室内楽作品」から形成されたと言っても過言ではありません。
その後もずっとプライベートの時間でさえ「ブラームスピアノトリオ聴こーっと」ってかけるぐらい、随分前から大好きな曲なのに、弾けるチャンスには恵まれず。
なので、今回の仕事でプログラムをもらい、満を辞して弾けるとなった時は「ついにきた!!!!」と小躍り🎶
ホルントリオは、ウィーンでかなりしっかり勉強したレパートリーだったし
こんな重たいプログラムを弾くことはおそらく人生でもう二度とないぞ、と気合い入りまくりの演奏会だった!!!
でも、勉強すればするほどゴールが遠のく?のがブラームス。
楽譜の読み方ひとつとっても、無数の解釈ができるし
さらにソロじゃないから奏者それぞれ解釈が違い
尋常じゃないエネルギーを使って頭と耳を駆使しました。
でもそれこそ室内楽の醍醐味!
まさに「音楽してる!!!」といった感覚で
すっっっっごく大変だったけど毎回のリハが刺激的で勉強になる経験やった。
本番、開演前にホールの方が舞台上でご挨拶されたのですが
「久しぶりの公演、会場にお客様がいるこの光景を見られて嬉しいです」と涙まじりで話されるのを見て
あぁ…みんなこのコンサートを楽しみにしてるんや……
と、ほんとに胸が熱くなった✨
これまでは、メンバーが、自分が、いい演奏をするために練習と試行錯誤をこれでもかと重ねてきたけど
あとは、お客さんの心や、このホール全体に流れる空気にのせなくちゃ🎶
みんなの力で素敵な瞬間にしよう🎶
と、いい意味で何かがフッと緩み
その結果、本番だからこそ初めて起きた「神秘的な瞬間」がたくさんある演奏ができたと思います😊
でもまだまだ究められるな。全然究め足りてません。
これから他の作品に触れたり、経験を重ねたり、考え方や性格や年齢や環境が変わったりした上で、再度究めてみたい。
ブラームスの奥深さをとことん突き詰めて、奇跡に何度でも気付いてみたいと思っています。
大阪クラシック2020動画配信中!
いろんな方とご一緒して楽しい芸術の秋を満喫しております♫
先日より、大阪クラシック2020の演奏が
YouTubeチャンネルに上がってまーす\(^o^)/
配信No.20
モーツァルト作曲
ピアノ三重奏曲 ケーゲルシュタット K.498
シューマン作曲
おとぎ話 Op.132
クラリネット:金井 信之
ヴィオラ:井野邉 大輔
ピアノ:原 由莉子
配信No.21
ライネッケ作曲
オーボエ、ホルンとピアノのための三重奏曲 Op.188
オーボエ:大森 悠
ホルン:高橋将純
ピアノ:原 由莉子
ステキな大阪市中央公会堂で収録でした✨
連続二本撮りでへろへろ……にも関わらず
衣装チェンジ(アクセサリー含)する原のこだわりにもご注目ください☝️(?)
でも着替えたことでリセットできて
結果集中力が持ったよ!!
ベテランプロオケ奏者の皆さんにいっぱい助けていただきながら
宴会もしまくり←
いろんな面で本当にお世話になりました!!
楽しかった〜❤️
またご縁がありますように❤️
次の演奏会はこちらです💁♀️
モーツァルトのピアノ協奏曲第23番K.488を弾きます。
整理券は長岡京記念文化会館でお取り扱いがあるそうですので、ホールの方へお問い合わせください。
楽しみです♫